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真正面から波を受け、条件が揃ったとき、
大きな感動が湧きおこり、何かを成し遂げたい心境になる

井関俊夫 学長

真正面から波を受け、条件が揃ったとき、
大きな感動が湧きおこり、
何かを成し遂げたい心境になる

井関俊夫 学長

2021年4月1日に第5代東京海洋大学長に就任した井関俊夫学長。福岡県福岡市に生まれ、九州大学大学院工学研究科で学び博士号を取得しました。高校生の頃には有人グライダーの設計製作に挑戦するなど、航空分野に興味があったと言います。大学在学時のある出来事がきっかけで、船舶の世界に惹き込まれたそう。学生時代に船舶や流体工学に一生をかける価値を見出した井関学長に、学生時代の思い出や自身の研究に関すること、また2030年に向けての大学全体に対する強い想いを聞きました。

井関学長

略歴

井関 俊夫(いせき としお)

1984年3月 九州大学工学部造船学科卒業
1989年3月 九州大学大学院博士後期課程単位取得退学
1989年4月 東京商船大学商船学部講師
1989年5月 工学博士(九州大学)
1990年4月 東京商船大学商船学部助教授
1991年5月 文部省内地研究員(東京大学工学部船舶海洋工学科)
1995年3月 文部省在外研究員(連合王国グラスゴー大学)
2003年10月 東京海洋大学海洋工学部助教授(大学統合)
2006年4月 東京海洋大学海洋工学部教授
2016年4月 東京海洋大学海洋科学技術研究科長
2020年4月 東京海洋大学海洋工学部長、附属図書館長
2021年4月 東京海洋大学長

Q 学生時代は、どのような研究をしていたのですか。

数値流体力学の計算プログラムを開発していました。対象は液化天然ガス(LNG)船の球形タンク内の流体で、波浪中の船体動揺によってどのような挙動を示すかを解析していました。
皆さんも球形タンクが複数搭載されている大きな船を見たことがあると思います。LNGはマイナス162度といった極低温で液化して運ぶ必要があります。そのためタンク内には断熱材が入れてあって、温度が上がらないようにしているのですが、運搬中にタンクが揺れるとLNGがタンク壁面にぶつかり、大きな衝撃によって断熱材が壊れてしまう危険性があります。
そこで、どの様な海象条件でどの程度LNGがタンク内で暴れるかという解析を行っていました。当時は、解析に必要な汎用流体解析ソフトウェアは市販されていませんでしたので、研究室に伝わるプログラムを徹底的に解読し、論文やテキストを読み漁って、自分の研究テーマに合わせたプログラムを完成させました。私の学生時代の大型計算機は現在と比べると非常に性能が低く、いかに効率の良いプログラムを書けるかが勝負でした。今から考えると、当時の私は、計算機にばかり向かい合い、実際の現象をあまり見ていませんでした。もし、目の前に学生時代の私が居るなら、基本的な研究姿勢について厳しく説教するでしょうね。

汐路丸実習での夕食準備(左奥が井関学長)

井関学長の研究風景。実船計測データや模型実験データによって研究を行っている。
Q 何がきっかけで、その研究をしようと思ったのですか。研究者になったきっかけを教えてください。好きになった、夢中になったエピソード等をお願いします。

実は高校生の頃は、大学受験の第1志望は航空工学、第2志望が造船学でした。高校の同級生と文化祭の時に県立図書館で流体力学の本を調べて、有人の複葉グライダーを設計製作しました。もちろん、重すぎて有人では全く浮き上がりませんでしたが、それが流体力学に興味を持ったきっかけになりました。


大学受験では実力が及ばず、第2志望の造船学科に入学しました。最初はやる気を失くしていましたが、学部3年生夏休みの工場実習で心境が大きく変化しました。溶接やガス切断の実習の合間に、建造中のバルクキャリアを間近で見て、その大きさに圧倒され、船を造ることを生涯の仕事にしようと決心しました。

※ バルクキャリア:バラ積み貨物(梱包しない貨物、鉄鉱石など)を専門に運ぶ船舶



そして、学部4年生で船舶設計の研究室に入りました。当時、卒論学生に示された研究テーマは確率統計か数値流体力学のどちらかを使うものでした。私はプログラミングが好きでしたので、迷わず数値流体力学のテーマを選び、解析結果を3Dグラフィックで表示することに夢中になりました。プログラミングが好きになったのは、学部2年生の時に初期のパソコンNEC PC8001をアルバイトしたお金で購入し、BASIC言語でいろいろとプログラムを書いて遊んでいたからだと思います。当時、パソコンを購入するのは一部のマニアだけでしたが、テレビのニュースで小学生がパソコンで遊んでいるのを見て、時代に取り残されてはいけないと思いました。パソコン雑誌に掲載されているゲームプログラムを手で打ち込みながら、段々と自分なりのプログラムが書けるようになりました。
面白かった思い出は、確率的な判断を要するボードゲームをコンピュータ上で再現し、コンピュータが人間の相手をするプログラムを作ったことです。研究室の友人に対戦してもらったら、私のプログラムは結構強かったのですが、アルゴリズムを説明すると、状況は一変してボコボコにやられたことを思い出します。人間の思考を模擬してプログラムすることを初めて経験し、楽しさとともに、強くするためには途方もない労力が必要になることを実感しました。
また、製図の授業では大きな紙の計算表を使用して排水量計算を行っていましたが、プログラムで計算表を再現し、排水量や浮心をすぐに求められるようになりました。その後、修士課程1年生の時に傾斜した船の復原力を計算するプログラムを開発しました。船体形状を滑らかに表現する必要があったため、3次スプライン補間を本で調べ、計算プログラムに取り込みました。製図の先生にも計算結果が正しいことを確認していただき、大学院の先輩もプログラムを使用してくれました。自分の作ったプログラムが認められ、人の役に立ったことがモチベーション向上に繋がっていきました。
Q 研究者として進めてきた研究で、特に印象に残っている研究はなんですか。

数学にマシュー方程式というものがあり、一定の条件が成立すると解が不安定になって発散することが知られています。この純粋に数学的と思われる現象が実際に船体でも存在します。パラメトリック横揺れと呼ばれますが、横波ではなく、船首方向から波を受けて、一定の条件が揃うと、大振幅の横揺れが発生する危険な現象です。船舶の安全運航上、この現象の発生は避けなければなりませんが、波力発電という観点からは非常に有益な現象と見ることができます。再生可能エネルギー回収装置である波力発電装置には、波によって浮体動揺を発生させ、その運動エネルギーを電気エネルギーに変換する形式のものが存在します。このマシュー型不安定を意図的に発生させ、その状態を維持することによって、高効率で再生可能エネルギーを回収することができるかも知れません。また、例えば、船体に発電装置を装着する場合には、運動エネルギーを回収することで船の揺れを軽減することも可能になります。船の揺れが軽減されれば乗り心地も良くなります。また、波からの効率的なエネルギー回収や装置のメンテナンスを考慮すると防波堤において発電するのが良いのではないかとも考えています。模型実験を中心としたこのような研究を博士後期課程の留学生と一緒に行ったことが印象に残っています。

回流水槽での実験風景

Q 先生のこれまでの研究は、SDGs何番の目標と関わりがありますか。その研究は、社会でどのように役立ちますか。

7番の「エネルギー」に関係します。洋上における自然エネルギーとしては、洋上風力発電が現在最も有力とされていますが、波力発電、潮流?海流発電、海洋温度差発電なども有力視されています。さらに、その波力発電には振動水柱型、動揺浮体型、越波型の3種類がありますが、その中で、巨大な質量を持つ浮体の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する動揺浮体方式が最も有力ではないかと私は見ています。前の質問で述べた研究の理論は、全ての動揺浮体方式波力発電装置に適用することが可能ですので、SDGs7番の目標達成に少しでも役に立ってくれれば嬉しく思います。
正直、再生可能エネルギーや持続可能というキーワードは、自分の研究成果の最後の方で出てきた概念のため、研究者としては馴染みが薄いのですが、学長の立場としては、SDGsについては将来の方向性として非常に重要な考え方であり、学内でもその重要性を共通認識とし、活動に取り組んでいっていただきたいと考えています。海洋工学部は、SDGsとマッチする目標を見つけるのが一見難しいようにも感じますが、例えば船舶の衝突防止についての研究は、衝突事故が海洋汚染に繋がる等といった点でSDGsに繋がるように思います。
Q 2030年、その先の将来に向け、海洋大にはどのような大学であって欲しいですか。

海を対象として、いろいろな人が、いろいろな視点から、いろいろな研究を行っている大学であって欲しいと思います。高校生の時、南極探検隊に参加された西堀栄三郎さんの講演会に参加しました。その時、「人には、ひとつのことを集中的にやる凸レンズ型の人と、広い視野で取り組む凹レンズ型の人がいる」という趣旨の話を伺いました。世の中にはいろんな人がいます。凸レンズ型と凹レンズ型の人、生真面目な人と楽観的な人、急ぐ人とゆっくり行く人、そのような両極端な人、多種多様な人達が遠慮なく意見を言い合い、互いに尊敬しあう大学であって欲しいと思います。危機に陥った時にも、全員が同じ考え方だと総倒れになってしまいますが、組織内に違う見方をしている人がいれば危機を打開することができるかもしれません。

Q 2030年に向けて、これから入学してくる学生さんには、海洋大でどのようなことを学んだり、体験してほしいですか。

何か新しいことに出会って、自分の進む方向、進みたい方向がピッタリと定まる瞬間を体験できれば最高だと思います。マシュー方程式ではありませんが、真正面から波を受け、条件が揃ったとき、大きな感動が湧きおこり、何かを成し遂げたい心境になるかも知れません。また、一見怖くて厳しい先生だなと思っても、実は面白い先生だったりします。表面的なものにとらわれず、懐に飛び込んでみると意外な出会いがあります。そして、そのような意外な出会いが突然現れるのも面白いですね。是非、海洋大で積極的に出会いを求めて、いろいろな経験をして下さい。
Q 東京海洋大学を受験するか迷っている高校生に伝えたいことはありますか。

東京海洋大学の特長は実学です。小規模な大学ですが、練習船やフィールドセンター、キャンパス内の実験設備などが充実しており、実際に手に触れて体験することができ、海にもすぐに手が届きます。取り扱っている分野も広範です。このため、興味を持てる分野を見つけやすいのではないでしょうか。また、教員と学生の距離が近いことも特長です。いろいろな大学と比較して、何か気になること、何か引っかかることが本学にあれば、真剣に受験を考えてみて下さい。本学における教育?研究の対象は、地球を取り巻く広大な海です。一生をかける価値を必ず見出せると思います。

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