蒸気船一艘英国ヘ注文伺
明治6年3月7日付建造伺及び仕様の全文である。この伺書に添付されたと考えられる図面として、昭和50年国立公文書館で発見された彩色を施した図面が2枚ある。1枚は「鋼具之図」他の1枚は「平面図」である。(新船概要図の項参照)
この船は物件名に記されているとおり「外車蒸気船」となっているが、実際に注文した時にはスクリュー船に変更されている。
この仕様書の「後ロ広間」の項に「一等飛脚船同様ノ出来各室夜ノ明リハ室間柱仕込ノ「ランプ」ヨリ取ル」の記述がある。当時の船では発電機を備えず、照明は専らランプに頼っていた。また、「一等飛脚船同様ノ出来」で示されたとおり、接収前の明治丸は食卓、カップボード等は極厚で良質のマホガニー材が使用され、往時の豪華な面影を偲ばせていた。