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サブ課題③水産物の養殖に係るデータを取得、AIで解析(近藤秀裕、廣野育生、小祝敬一郎)サブ課題④その他海洋分野の諸課題を解決するAI分析手法の確立テーマa.GaussianMarkovRandomFieldを用いた時空間分布モデリングとその応用(北門利英)クルマエビ養殖場の飼育水の細菌叢と植物プランクトン叢および各池から5匹のクルマエビ胃内の細菌叢についてメタゲノム解析を行なった。養殖池の細菌叢と植物プランクトン叢ともにサンプリングの時期により異なっており、養殖期間中に安定しているものではないことがわかった。同じ養殖場内の異なる池の水の細菌叢と植物プランクトン叢は同じではないこともわかった。クルマエビ胃内の細菌叢は、同じ池のエビは類似していたが、サンプリングの時期によって異なっていることがわかった。細菌叢の多様性は安定的に生産できている養殖場では多様性が高く維持されている傾向が見られた。(計画?方法)(結果と今後の展望)養殖現場で毎年発生し、関連産業に多大な経済的損失を与える魚介類感染症の発生を事前に知り、被害を軽減する手法を開発することを目的とし、養殖場周辺の環境DNAおよび微生物叢の季節的変動を理解するためのDNA配列情報のビッグデータを活用する手法を開発する。養殖魚介類の微生物感染症を克服するための技術開発も重要であることから、養殖対象手種のゲノム配列データ基盤の構築と更新を行う。(計画?方法)今年度はクルマエビ養殖場において養殖池水およびエビ体内の細菌叢の種あるいは属を特定することができる遺伝子配列ビッグデータの収集を行う。サンプリングは月に一回実施する。養殖業者からは養殖場におけるクルマエビの斃死状況および水質測定データを提供してもらい、養殖池水およびエビ体内の細菌叢の関係について解析する。これまでの研究で構築してきているクルマエビのゲノム配列情報や遺伝子配列情報データベースのバージョンアップを行うための遺伝子配列情報収集も行う。(結果と今後の展望)今回の研究調査期間中にクルマエビ養殖場では感染症の発生によるクルマエビの深刻な斃死は無かったことから、感染症が出る池と出ない池での細菌叢と植物プランクトン叢の比較解析ができなかったが、細菌叢と植物プランクトン叢の調査を継続していくことで季節毎に生産性が良い池と悪い池の評価が可能になると考えられた。魚類資源に対する時空間データを用い、GaussianMarkovRandomField(GMRF)を用いた時空間分布の統計的推測を行うためのソフト面での基盤構築を目的とする。課題担当者がこれまで共同研究を進めている機関から借用した密度調査データを、必要に応じて環境データと併せて試験的に解析する。当初の解析対象として、仙台湾イカナゴ、インド洋マグロ類、東南アジアの淡水魚、日本周辺海域のマイクロプラスチック等を想定しているが、準備の過程で取捨選択する。マグロ類データを対象に、漁業の時空間データと、衛星から取得した環境データの整備を行った.インド洋ではキハダ、メバチ熱帯マグロ2種について、漁業データから引き出される生物の密度情報と水温などの環境変数との関係推測を、加法モデルを用いて予備的に行った.またビンナガに対しては、3大洋のデータを取得し同様の推測を行った.また、気候変動シナリオをによる将来の環境変動に伴い、マグロ種の時空間分布がどのように変化するか、予測を試験的に行った.一方で、東南アジアの淡水魚や日本周辺海域のマイクロプラスチックについても空間分布の解析を試みたが、データの解像度と精度の関係から妥当な結果を導き出すことが困難であった.現在マグロ種について、TemplateModelBuilder(TMB)を基礎としたGMRFによる解析を実施中で、これらの解析の最終化後に、気候変動シナリオによる時空間分布の再解析を行うと供に、衛星データの取得やデータ解析法について整備する予定である.4.海洋ビッグデータの取得、AI分析研究の推進(1)海洋生物ビッグデータを活用したレジリエントかつ持続可能な漁業を実現する漁業統合支援システムの開発と海洋AI人材の育成

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