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【まとめ】●結果と今後の展開方向:水中カメラはソナーに比べて費用の面で優れているものの、多くの課題も判明した。そこで今後は、潮流(計測、ビッグデータ)等のデータと組み合わせた、機械学習によるアプローチにも取り組んでいく。②:三重県鳥羽市にて海水をサンプリングし、良いとされている漁場と悪いとされている漁場の環境条件の違いを明らかにした。●結果と今後の展開方向:カキ養殖漁場において、物理的、生物的な環境条件の違いを整理することができた。今後は、環境ビッグデータと計測データを組み合わせた、生産性の向上や効率的な新漁場の開拓、および環境変化に対応した産地間での連携の方法の確立を目指していく。③:神奈川県横須賀市にて、環境条件の計測をおこなうとともに、天然のマガキ?イガイをサンプリングし、天然の貝類を用いた研究の可能性について検討した。●結果と今後の展開方向:楕円フーリエ解析により、貝殻の形状(図5)を定量的に評価することができた。環境データや身入りのデータも取得できた。今後は、これらを組み合わせた分析に取り組んでいく。以上のように、種々のデータが得られ、今後の海洋ビッグデータの利用や機械学習による研究、地域社会や実際の産業(漁業)への貢献の道筋を示すことができたと考えている。研究代表者?自然科学的な知見やデータの経営?経済学的な利用を目指して実施?地域社会や実際の産業(漁業)への貢献を目指している松井隆宏(海洋政策文化学部門)図4定置網モニタリングシステムの画像(三重県熊野市株式会社ゲイト)図5マガキの貝殻の形状2018年12月に約70年振りに漁業法が抜本的に改正された。そこでは、資源管理の高度化等とともに生産性の向上が掲げられ、ICTや種々のデータを活用したスマート漁業?水産業が推進されている。その背景には、日本の漁業を取り巻く厳しい状況がある。食料供給を中心に考えるのであれば効率的な漁法にシフトしていけばよいが、沿岸地域社会の維持、発展や多様な食文化の維持等に鑑みると、スマート漁業?水産業の成果は、遠洋、沖合の大型な漁業だけではなく、養殖業や沿岸の小型な漁業へも届けていかなくてはならない。課題の概要結果と今後の展望本課題では、こうした問題意識から、ICTや環境データを利用した新たな養殖業、定置網漁業のあり方を提示することを視野に、フィージビリティースタディーとして、3つの小課題を実施し、以下のような成果が得られた。①:三重県熊野市および静岡県西伊豆町にて、水中カメラによる定置網モニタリングシステム(図4)を用いて試験的に画像データを入手し、漁獲量推定や魚種判別等での利用の可能性について検討するとともに、氷の使用量の適正化や出漁のタイミングの判断など、経営的な面での利用の可能性についても検討した。実施体制その他特筆事項4.海洋ビッグデータの取得、AI分析研究の推進(2)環境調和型スマート水産業のためのビッグデータの構築とその生産?流通?消費への適用

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