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国立大学法人 東京海洋大学

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東京海洋大学は令和5年10月1日に創立20周年を迎えました

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学長からのメッセージ

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 本学は東京商船大学と東京水産大学が平成1510月に統合し、海洋?海事?水産分野の教育?研究を担うわが国唯一の海洋系総合大学として誕生しました。この年には本学を含めた10組の国立大学が統合されましたが、 100 年を超える長い歴史を持つ二つの大学が新しい名前を冠して統合したことで非常に注目を集めました。
 半年後の平成164月には全ての国立大学が法人化され、6年間を1期とする中期目標期間が設定されました。国立大学法人法に従って、文部科学大臣は国立大学法人が達成すべき業務運営に関する中期目標を定め、各国立大学法人はその目標を達成するための中期計画を作成することになりました。提出した中期計画に対して文部科学大臣の認可が得られると、6年間の中期目標期間を通じて、安定的?持続的に教育研究活動を行うために必要な基盤的経費「運営費交付金」が配分されます。一方で、多額の国費が投入される法人となったことにより「国立大学法人評価(以下、法人評価)」を受けることになりました。具体的な評価は、業務運営?財務内容の目標達成状況については毎年度、教育研究の目標達成状況については4年目と6年目終了時に実施され、最終評価において努力と成果が認められた場合は次期の運営費交付金に「評価反映分」として上積みされることになりました。また、同じく平成164月には、「学校教育法」の一部改正によって、いわゆる「機関別認証評価」を7年以内に1度実施することも義務化されました。そのような背景のもと、本学においても、大学の教育研究に対する国民の要請に応えるとともに、我が国の高等教育及び学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図るため、これまでに数多くの教育改革や組織改革を行って来ました。以下に、これまでの法人評価結果を中心として、本学の20年を振り返ってみたいと思います。

 平成16年度から始まった第1期中期目標期間においては、自律的?自主的な環境の下での大学の活性化と優れた教育や特色ある研究に向けた積極的な取り組みが推進されました。一方で、事業の効率化などによる経営努力も求められ、「効率化係数」によって運営費交付金が毎年減額されることになり、当時、大きな議論を呼びました。
 第1期における本学の法人評価結果では、教員および事務系職員の個人評価を本格実施し、処遇に反映させる取り組み等を総合的に勘案し「業務運営の改善及び効率化に関する目標」の達成において「非常に優れている」との評価を受けました。その他に、「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」において「食品流通の安全管理教育プログラムの開発(平成16年度)」、「海事英語学習?評価プログラムの開発(平成17年度)」、「水圏環境リテラシー教育推進プログラム(平成19年度)」の3件が採択されていること、平成18年度に「魅力ある大学院教育」イニシアティブに「海洋観測?生物資源調査の実践教育強化」が採択されたこと、平成19年度に大学院博士前期課程に社会人を主な対象とした食品流通安全管理専攻を新設したこと、大学院教育改革支援プログラム「研究?実務融合による食の高度職業人養成」が採択されたこと、ならびに「海域生物工学の戦略的イノベーション創出」が科学技術振興調整費「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」に採択されたことが優れた点として認められ、その他にも進路指導情報室の設置と『就職ガイドブック』の発行等の取り組み、ロジスティクス等の研究領域における競争的外部資金等の獲得等も優れた点として評価されました。また、平成20年度に大学院博士前期課程に海洋管理政策学専攻を設置したこと、海洋を利活用した教育、研究、社会貢献に積極的に取り組んでいることについても高く評価されました。

 平成22年度から始まった第2期中期目標期間では法人化の長所を生かした改革を本格化することが重視されました。特に、後半の3年間は「改革加速期間」として位置づけられ、各大学においてミッションの再定義が行われるとともに、グローバル化、イノベーション創出、人材養成の強化等の積極的な改革が求められました。その趣旨から、運営費交付金を一律減額する「効率化係数」は廃止され、新たに創設された「大学改革促進係数」によって財源を捻出し、改革に積極的に取り組む大学に対して運営費交付金を増額配分する仕組みが導入されました。
 第2期における本学の法人評価結果では、海洋科学部でのTOEICスコア600点取得の4年次進級要件化と「海外派遣キャリア演習」の新設、海洋工学部でのグローバル?リーダーシップ?イニシアティブ認定コースの設置、さらに大学院博士前期課程の対象4専攻における授業科目の英語化が優れた取り組みとして評価されました。また、平成 22 年度に「海洋における日中韓高度専門職業人養成」が「日中韓等の大学間交流を通じた高度専門職業人育成事業」に採択され、全専攻を対象とした「海洋環境?エネルギー専門職育成国際コース(JCKプログラム)」を開設し、現在においても継続されています。その他にも、新学部設置に向けた教育体制の整備、インターンシップの推進、テニュアトラック制度の推進、産学官金連携による無人深海探査機開発プロジェクト「江戸っ子1号」、海外教育研究機関への研究者派遣、事務組織の再編成等による効率化?合理化、リサーチ?アドミニストレータ(URA)配置による外部資金獲得に向けた取組等が優れた点として評価されました。さらに、「業務運営の改善及び効率化に関する目標」においては、「教員配置戦略会議」を設置し、教員組織を「学術研究院」に一元化したことが「戦略性が高く意欲的な目標?計画」による取り組みとして高く評価されました。
 第2期中期目標期間の最終年度である平成27年には、本学初の中長期ビジョンとなる「ビジョン 2027-海洋の未来を拓くために-」(2027は第4期中期目標期間の最終年度)が策定され、教育、研究、国際化、社会?地域連携、管理?運営の5つ分野における目指すべき方向性が学内外において共有されました。

 平成28年度から始まった第3期中期目標期間においては、国立大学は持続的な競争力を持ち、高い付加価値を生み出す「社会変革のエンジン」として期待されました。各大学は「地域貢献」、「専門分野」、「卓越性等」の3つの重点支援枠に分類され、それぞれの機能強化が推進されました。それに応じて第2期に導入された「大学改革促進係数」は「機能強化促進係数」に変更され、各大学が主体的に決めた評価指標(KPI)による重点支援評価結果に応じて配分されることになりました。さらに、中期目標期間途中の令和元年度からは「成果を中心とする実績状況に基づく配分」いわゆる「共通指標評価」も導入され、相対評価によって運営費交付金の一部が傾斜配分されることになりました。
 本学における第3期の特記事項としては、平成29年度の「海洋資源環境学部」新設が挙げられます。これによって現在の「海洋生命科学部」、「海洋工学部」、「海洋資源環境学部」の3学部体制が発足しました。

 第3期の法人評価では、「教育内容及び教育の成果等に関する目標」において、海洋生命科学部と海洋資源環境学部の4年次進級要件(TOEICスコア600点)が各年度で達成されていることや、平成28年度に「大学の世界展開力強化事業」として採択された「『日中韓版エラスムス』を基礎とした海洋における国際協働教育プログラム」(略称:OQEANOUS)が優れた取り組みと認められ、「中期目標を上回る成果」として評価されました。なお、OQEANOUSプログラムは中間?最終評価において最高の「S評価」を受け、現在は東南アジア地域も対象領域に含めたOQEANOUS Plusプログラムへと発展?継承されています。同じく教育に関する目標では、水産教員向け免許更新講習の開講や学生就職率の好成績についても優れた取り組みとして認められました。「社会連携及び地域に関する目標」においては、平成26年度に採択された「科学技術人材育成のコンソーシアムの構築事業(研究支援人材育成プログラム)」における各種の取り組みが「中期目標を上回る成果」として高く評価されました。その他にも、国際共著論文数の増加に向けた継続的支援や学会と協力したデジタルアーカイブを用いた研究成果等の発信が優れた点として評価されました。一方で、研究に関する目標にいては、教員一人当たりの論文数、科研費採択率、外部資金獲得件数が改善を要する点として指摘を受け、「中期目標をおおむね達成」しているとの評価となりましたので、次期での改善を図ることになりました。
 第3期中の本学の特記事項としては、平成3141日に「ビジョン2027バージョン2」を策定し、本学としても持続可能な開発目標(SDGs)や第3期海洋基本計画に対応していくことを公表したこと、令和元年8月のキャンパスグランドデザインプロジェクトのスタートと「海洋産業AIプロフェッショナル育成卓越大学院プログラム」の採択、さらに令和2101日に「水圏生殖工学研究所」を本学初の大学附置研究所として開設しことが挙げられます。

 第4期中期目標期間は令和4年度から始まり、今年が2年度目になります。第4期における中期目標の設定は第3期とは異なり、国として達成を期待する中期目標25項目が大綱として示され、各国立大法人は自らのミッションやビジョンに合致した項目を主体的に選び、それを達成するための具体的計画を評価指標と伴に示すことになりました。本学は示された中期目標の中から14項目を選択し、その目標を達成するための29の中期計画を80の評価指標とともに策定しました。
 第4期においては「ミッション実現」がキーワードとなっており、第3期に導入された「機能強化促進係数」は「ミッション実現加速化係数」となり、「係数」によって大学改革を促進する仕組みも新たなフェーズに入ったと言えます。一方で、第3期で突然導入された「共通指標評価」は継続して毎年実施されることになりました。それとともに、社会的インパクトによる評価が導入されることになっています。また、法人評価における、いわゆる「年度評価」が廃止され、中期計画の進捗管理と自己点検?評価は各法人で行うことになりました。
 上述の第4期中期目標の選択、中期計画の策定に当たっては、「ビジョン2027」 が第4期をゴールとしていることから、さらに長期的な方向性を学内で共有する必要が出てきました。そこで、第4期開始前の令和3年度に、学長直轄の経営企画室会議において「ビジョン2040(仮称?案)」を示すとともに、そのアクションプラン検討チームを結成し、令和4年6月に「ビジョン2040-海洋、その先の未来へ-」として公表しました。「ビジョン2040」は、「ビジョン2027」の精神を受け継ぐとともに、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」(平成30年中央教育審議会)、「国立大学改革方針」(令和元年文部科学省)、「教学マネジメント指針」(令和2年中央教育審議会)、「教育未来創造会議第1次提言」(令和4年教育未来創造会議)等によって国立大学に期待されている種々の事項に積極的に応えるべく、2040年という誰もが想像し難い未来に向けて策定されました。
 本学の第4期中期計画およびビジョン2040に関連した現在の主な取組みとしては、

  • 学修成果を実感できる質の高い教育の保証
  • 4学期制の効果的実施による多様な学修機会の確保
  • ビッグデータやAIなどを活用して新たな価値を創造するグローバル人材育成
  • 先端科学技術によるイノベーション創出と社会実装のための研究推進
  • 「海の研究戦略マネジメント機構」を中心とした研究力強化
  • 地球規模の教育?研究ネットワークの構築し、知と人材の集積拠点を実現
  • 国内外の地域共創拠点の醸成と社会変革や海洋産業の発展に貢献
  • キャンパスマスタープラン2022に基づくキャンパス整備推進事業
  • 各人が自らの能力を存分に発揮できる職場環境の実現

等が挙げられ、現在、各理事?副学長?学長補佐を中心として、各全学委員会等において実施に向けた検討と進捗管理を行っています。
 18歳人口の減少が想定よりも早く到来する現実とデジタル社会の進展など社会情勢の急速な変化に直面している中で、国立大学に求められる役割も大きく変化していきます。海洋に囲まれたわが国の将来を担う教育?研究をミッションとする、わが国唯一の海洋系総合大学として、これからも、東京海洋大学は、2つのキャンパス、5つのステーション、3隻の練習船、2隻の実習艇を効率的に活用し、社会の要請に応えられるグローバルな視点で海洋の未来を切り開く逞しい人材を養成してまいりますので、何卒、ご理解ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

令和5年10月1日
国立大学法人東京海洋大学長
井関 俊夫

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<関連リンク>
創立20周年記念講演会を開催しました
大学沿革
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